自分にむかってまっすぐに。「LOVE & HUG」

再会 ver.2

先日、父との再会について記したけれど

今日はそれにまつわるもう一つの再会について。

 

1993年、確か10月頃だっただろうか…。

当時、NYに行くと決めていたものの、結婚している私の状況、

そして、残していく父と母それぞれのこと、本当に行くべきなのか、

行ってしまっていいものなのかと考えあぐねていた。

 

そんな私の状況をみかねて、声をかけてくれた人がいる。

 

「由歌利さん、もういいから。あなたはあなたの道を行きなさい。

あなたは十分に、お父様とお母様に尽くしてきたんだもの。

あのふたりは、自分たちのやりたいようにやってきただけ。

後は、ふたりがそれぞれ考えやっていくべきことなの。

お父様に何かあれば、私がなんとかするわ。お母様には

お兄様やお姉さまがいる。だからもう、自分で選んだ道を

大切になさい。そしてね、ひとつだけ覚えていてほしいの。

自分の魂の位置を忘れてはだめよ。人間は弱い生き物だから

安易で楽な方向へ下がってしまうの。降りることはとても簡単。

でもね、気づいて戻ろう、上がろうとしても簡単にはいかないわ。

何倍何十倍の努力と時間が必要になってしまうの。

世の中には、人を惑わせるための選択肢もあるのよ。

忘れないで、選んでも無駄になるわ。

だから、由歌利さん、あなたの魂の位置を忘れないことよ。

それだけよ。ほら、笑顔でNYに行っておいでなさい。」

 

最終的に、この人のこの言葉に背中を押された。

これがなければNYに行っていなかったかもしれない。

そうであったら、当然、今の私はない。

 

この人は、当時、父が一緒に暮らしていた女性で

父の歴代の(多すぎて覚えてないない)彼女の中、

群を抜いて、私は彼女のことが大好きだった。

 

華道・茶道の師範免許を持っていたにもかかわらず、

生涯一日たりとも働いたことのない彼女だが(!)、会えば

何時間も話しこみ、商売をしていた母が教えてくれなかった、

とても多くのことを彼女から学んだ。

 

誤解を恐れずに言えば、今回、このひとに会いたいがために、

私は父に会うことにしたのだ。会えるのであれば、まずはなにが

あっても当時のお礼を言いたいとずっと思っていたから。

 

先月末、父と三人であった。彼女は会えてよかったと

笑いながら泣き、私もお礼を言いながら、やっぱり泣いた。

父の人生最大の功績は、この彼女と別れることなく

老いらせる苦労もあまりかけずに、ここまできたこと。

 

人生は、不思議でおもしろい。

今、痛みを感じ、傷に塩と感じるようなことがあっても

いつか必ず「なにか」を成長させる土台になるんだものね。


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